予備校の選び方

プロが教える医学部予備校の選び方① 【指導方針】(後編)

この記事は「プロが教える医学部予備校の選び方①」の後編です。前編をまだお読みで無い方は、先にそちらから御覧ください。

前編のおさらいです。教育業界には大きく分けて2つの派閥があると書きました。

  • ①【問題を解けずに悩む子には、すぐに答えを教えなさい】派閥
  • ②【「機械的な学習」には何の意味も価値もない】派閥

の2つの派閥のどちらを選ぶべきなのか、私のお勧めとその根拠を書いていきます。

結論

先に結論を書いておきます。もちろん、受講費用や本人の学力などの条件によって結論は変わります。ですが、医学部予備校を探している一般的な生徒さんや保護者の方にどちらを勧めるかと問われると、私は派閥2の予備校をお勧めします。

少し補足すると、「ある程度勉強が得意な生徒」は派閥1の予備校でも問題ありません。大まかな目安ですが、偏差値で言うと63以上の生徒、もしくは「部活などに打ち込んでおり、これまで勉強をやっていなかっただけで地頭が抜群に良い生徒」は派閥1の予備校で問題ないです。

それに対して、派閥2の予備校はどんな学力の生徒にも勧められます。特に、ある程度勉強をしているのに偏差値が60を超えない生徒や「勉強のやり方や、自分の地頭に自信のない生徒」には派閥2の予備校を強くお勧めします。もちろん、勉強が得意な生徒も派閥2の予備校に通って問題ありません。

根拠

では、次に私が何故そう考えるのかをご説明いたします。
ですがこの説明は少し複雑ですので、私の考え方の変遷を時系列そって振り返りながら、ご説明させていただこうと思います。

プロ講師になり始めの数年間(派閥1)

プロ講師になり始めの数年間は、実は私も派閥1の指導をしていました。

生徒たちには「長時間悩むのは時間の無駄だ」と言って、知識を与え、反復演習させていました。考え方、着眼点、出題頻度などを全て伝え、過去問の中から良問を選び問題演習させました。
そして実際、伸びる生徒は本当に伸びてくれました。4月時点では知識0だった生徒が秋頃には東大の問題が解けるようになることもザラでした。

少し手前味噌な話ですが、私も元々そんなに勉強が苦手ではありません。本番に弱く滑り止めで神戸大学ですが、塾や予備校に通わずに独学でどの科目も偏差値70前後は取れていました。

勝手な推測ですが、派閥1の方々はおそらく私と同じように「元々勉強が苦手でない」側の人間でしかも、基礎の大切さを実感する経験をしたことがある方々なのでは無いかと思っています。

ですが、その方々は見落としている。もしくは見捨てている生徒が存在します。

プロ講師5年目(派閥2)

医学部受験の知識もつけて、教え方も安定してきたころです。合格した生徒達から感謝の言葉を受ける一方で、ずっと感じていた違和感と向き合うようになります。

それは、成績が伸びない生徒の存在です。

伸びないといっても全く伸びないわけではありません。偏差値60付近までは上がります。ですが医学部には惜しくも合格できない理解度です。彼ら、彼女らは一見すると真面目に授業を聞いてくれていますし、授業は分かりやすいと言ってくれます。宿題もきちんとやってくれています。

どうして成績が伸びないのか。
そうした生徒たちをよく見てみることにしました。

そした分かったことは、彼ら、彼女らは共通して「考える力が弱い」ということでした。授業中、良いタイミングで頷いてくれます。ですが実は、表面的なことしか分かっていません。授業で最も大切な「なぜ」の部分が抜け落ちており、機械的に解き方の手順だけを覚えています。言葉は悪いかも知れませんが、「自分が分かっていない」ということにも気づいていません。

問題演習をしていても「なぜ」の視点が無いので、いくら繰り返しても理解が深まりません。
理解が浅いので定着せず、覚えては忘れての繰り返し。当然応用問題は解けませんし、問題を解くのも遅いので宿題をやるだけで精一杯です。

性格的な問題を抱える生徒もいました。解けない問題を考え抜くことが嫌い。集中力が続かない。でも、みんな一見すると明るく礼儀正しい生徒です。(正確には皆ではないですが)

こうした生徒は、確かに答えだけを覚えているわけではないが、やっていることは丸暗記と同じです。こんな勉強を何年続けても成績は伸びませんし、医学部には当然受かりません。実際、私が自分の予備校を立ち上げる前に、大規模、小規模、集団、個別、と様々な医学部予備校に勤務してきましたが、合格するのは入学時点で学力がある程度高い生徒か、やってなかっただけで地頭が良い生徒(偏差値40台から合格するのはこのタイプ)だけでした。

そこから私は少し教え方が変わりました。

「考える力がある程度ある生徒」の成績を上げるのは簡単です。 問題は「考える力が弱い生徒」に考えさせるにはどうすればよいのか?じゃないのか、と。

この試行錯誤の話は今回のテーマから外れるので別の機会に回しますが、ともかくここで私は派閥2に変わります。

根拠のまとめ

派閥1で勧められている「基本の反復」は大変優れた学習方法です。一部の天才を除いたほとんどの受験生にとって、この学習方法が最も効率的な学習方法です。

ですが、それは考える力がある程度ある生徒にとっての話です。
中学受験からずっと丸暗記を強制されて考える力を失っている生徒にどれだけ丁寧な授業をしても、問題を解かせても成績は伸びません。
彼ら、彼女らは基礎の徹底を始める前の段階にいるからです。

そして勘違いしている方が多いと思うのですが、医学部予備校はこの段階の生徒を伸ばすようには作られていません。
通常の医学部予備校は、「考える力はあるが、大手予備校の集団指導だとついサボってしまう生徒」のために、一対一もしくは少人数で受けられる「少し強制力のある予備校」であってそれ以上ではありません。

結論のまとめ直し

結論をまとめ直します。

  • 考える力があり、自分でどんどん勉強していける生徒→大手集団予備校(年間100万程度)
  • 大規模集団授業だと集中しにくい(さぼっちゃう)かも知れないので、少人数集団か個別で見て欲しい。寮まで起こしに来てほしい。→医学部予備校(年間400~1000万程度)
  • さぼっちゃうとかじゃなく理解力や記憶力に不安がある。真面目にやっているが偏差値60以下。→考える力を伸ばす仕組みのある予備校
  • 勉強が苦手なつもりは無いが「考える力」とやらを伸ばして成績が飛躍するならやってみたい→考える力を伸ばす仕組みのある予備校

長くなってすみません。少しでも予備校選びのお役に立てていれば嬉しく思います。
皆様の後悔のない予備校選びを応援しています!